2017年5月18日木曜日

「自閉症は『矯正』されるべきものではない」とは?

LINEニュースで配信される「ダ・ヴィンチニュース」で、こんな記事が流れてきました。

一部引用させてもらいます。

自閉症は「矯正」されるべきものではない
(引用元 https://ddnavi.com/news/375101/a/)

 ここ数年、アスペルガーやADHD、自閉症といった発達障害に世間の注目が集まり、書店などでも多くの関連書籍をみかける。ちょっとでも子供の行動がおかしいと親も学校も「診断」をもとめようとする風潮があるようで、そんな状況を「発達障害バブル」と危惧する専門家の指摘もある。その功罪は別として、子供の「理解できない行動」をなんとかしようとする親や周囲の切実な気持ちが、そうした診断の希求につながるともいえるのだろう。 
 ただ、そうやって安易に「診断」することは、時として悲劇を生むこともあるかもしれない。 
そんな側面を歴史から解き明かし、ある意味クールダウンさせてより広い視野を与えてくれるのが、講談社ブルーバックスの新刊『自閉症の世界 —多様性に満ちた内面の真実』(スティーヴ・シルバーマン:著 正高信男、入口真夕子:訳)だ。 
(中略) 
 偉大な科学者や芸術家、シリコンバレーのIT長者たちには、おそらく自閉症と診断される存在が多くいると本書は述べる。むしろ彼らがいなければ、今日のような社会は作りだせなかったかもしれないし、社会にとって彼らの才能は大きな財産でもある。いまだ自閉症の原因や特効薬には辿りついていないとはいえ、もはや自閉症は「矯正」されるべきものではなく、社会が受け入れ「共生」するマイノリティだとする意味は大きいだろう。




Kindle版は、明日配信とのこと。

予約ボタン、ポチりました。

自閉症についての本を買うのは、わりと久しぶりです。

あだきち君が特別支援学校の高等部を卒業する前後、長年かかって買いためた、大量の療育関連、自閉症関連の本のほとんどを処分しました。

思いのこもったものは残しましたし、情報が古くなってしまたものも多かったので、それほど残念な気持ちにはならないはずでしたが、本好きとしては、やはり大きな痛手だったようで、手放したものと同ジャンルの本は、なかなか買う気になりませんでした。

それでも、こうした記事を見ると、新しい情報は、やはりしっかり手に入れなくてはと思います。

(__).。oO

自閉症界隈での、この十数年の時代の移り変わりは、私の狭い視野で見てきただけでも、ものすごいものがありました。

あだきち君が最初に診断を受けたころ(2000年)、すくなくとも私の周囲では、障害の早期診断について消極的な声が大半でした。

言葉が出なくても「男の子なんだし、様子をみたら」と言われるのが普通だったのです。

また、重度の知的障害を伴う自閉症児、広汎性発達障害児には、早期療育など必要ないと考える人が、ほとんどでした。

診断が出たあと、自治体の発達相談で、担当の方に療育の話をしたら、

「そんなお金があったら、家族で旅行にでも行けば?」

と言われました。

その発達相談で紹介された、障害児施設の先生がたのなかは、

「机上の訓練なんて、なんの役にも立たない!」

と断言し、療育教室にあだきち君を通わせる私に対して、話しかけてもシカトする、わざと聞こえるように陰口をたたくなど、かなり楽しい、批判的コミュニケーションを見せてくださる方々もおられたほどです。( ̄。 ̄;)

その後、何年もたたないうちに、おそらくはネットでの情報の流通によるのだと思うのですが、早期療育は効果的であり、早期診断は子どもにとって大きなメリットになるという考え方の人が、ずいぶん増えてきました。

あだきち君が就学したあとは、自閉傾向やADHD傾向のある子どもたちへ、教育現場での理解が進んでいて、具体的な指導方法について、積極的に学んで取り入れようとする先生がたが、たくさんおられました。

発達障害児向けの民間の学習・療育教室や、学童保育、通信教育的なサービスも、今ではかなり増えてきています。それだけニーズがあるということでしょう。

その一方で、過剰な診断や、投薬などに対する批判の声も、増えてきたように思います。

全国の特別支援学校は、この少子化の時代にもかかわらず、入学希望者が激増していて、どこも定員を大幅に超えて、教室が足りなくなるようなありさまですが、そうした現状についても、過剰な診断が原因ではないかという声も上がっているようです。


特別支援学校、3400教室不足 在籍者が急増(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASK4X0QSNK4WUTIL07N.html?iref=sp_new_news_list_n


けれども、地域の小中高の普通学級に、しっかり受け止めてくれる居場所があるなら、大勢の保護者が、我が子の特別支援学校進学を希望するはずもありません。

結局のところ、医学的な原因究明や進み、発達障害の診断の精度が上がっていっても、当事者の子どもたちを、どのように育て、どんな未来像を描いていくべきなのかについては、いまたに大きく意見が分かれ、蛇行し続けている状態なのでしょう。

この先、その蛇行がどういう形におさまっていくのか、私としては、大きな興味があります。

スティーヴ・シルバーマン氏著作で語られているらしい、自閉症は『矯正』されるべきものではない」という考え方は、あだきち君のような、重度の子どもたちに、どんな生き方を提案してくれるのか。

それとも、技術者として働けるような、高機能の自閉症者たちだけを視野にいれた考え方なのか。

そのあたりは、本が届いてからの楽しみとすることにします。(後者だったら、ここのブログに罵詈雑言レビューを書くかもしれません(^_^;)