2017年5月17日水曜日

ドラマ苦手なのに見た日記…「空飛ぶタイヤ」



私(おかーさん)は、テレビを見るのが苦手です。

とくに、ドラマや映画のようにストーリー性のあるものは、集中して視聴するのに骨がおれるため、なかなか見ることができません。

まず、決まった放映時間にテレビの前に座るということも、極めて困難なので、たいていの作品は見逃します。録画すればいいんですけど、それも忘れます。というか、そもそもうちのDVDデッキ、録画機能がありません。

なぜ放映時間にテレビの前に座れないのか。
時間を忘れてしまう、というか、テレビを見ようとしていたこと自体を、完全失念してしまうことが多いからです。

そして、覚えていた場合も、他の事が気になったり、気持ちをドラマに向けるのが億劫になってしまって、「ま、今回はいっか」と、スルーしてしまいます。


ところが、いったん見始めて、作品に集中してしまうと、今度は頭が作品に占拠されて、他のことが、なーんにも頭に入ってこなくなります。見終わっても、頭の中で何度も反芻せずにはいられなくなりますし、続き物の作品だと、もう、続きが気になって気になってしかたがなくて、最悪、生活に支障をきたします。

というわけで、暮らしの平穏を守るために、普段の生活から、ドラマを駆除して暮らしているのですが、なんだかそれでは世の中が狭いし、見るべき素晴らしいものをたくさん見逃している気もしますので、少しづつ、努力して、視聴しようと思い立ち……


Amazonプライムで、これを見ました。

池井戸潤原作「空飛ぶタイヤ」



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内容を全く知らないまま、見始めたのですが、話が進むと、現実の事件を元にしたものだと気づきました。

三菱の大型トラックのタイヤが外れて飛んで、歩いていた母子にぶつかり、お母さんが亡くなってしまった事故が起きたのは、まだ幼児だったあだきち君の手を引いて、そこいらを歩いていたころでしたので、強く印象に残っています。ニュースを見て以来、しばらく大型トラックを怖く感じたものでした。

ネット検索したら、2002年、横浜でのことだったと、wikiに書いてありました。




その凄惨な実話を、「空飛ぶタイヤ」という、どこかメルヘンチックなタイトルに象徴させたことが、なんだかすごく残酷に感じられました。

そんな風に思った時点で、見るのがかなり苦痛になったのですが、ちょこちょこ休みをいれつつ(部屋を掃除したり、洗い物をしたり…)、池井戸潤原作の物語であるから、必ずスカッとするラストを迎えるに違いないと信じて、堪えて見続けました。

けれども、社会の複雑さを考えてみれば当たり前なのですが、善悪がスカッと切り分けられるような、単純な物語ではありませんでした。

重かった………orz。


あらすじを、私なりに書いてみます。
(ネタバレありです、念のため)


赤松運送のトラックが、走行中、突然タイヤが外れて飛び、直撃を受けた若い母親が死亡。

トラックの製造元である、ホープ自動車が検査した結果、赤松運送によるトラックの整備不良と判断され。社長の赤松(仲村トオル)が責任を問われることになります。

けれども、本当の事故原因は、ホープ自動車が製造したトラックそのものの構造上の欠陥と、リコール隠しであって、赤松運送には全く落ち度はありませんでした。

赤松社長や雑誌記者が、ホープ自動車の隠された不正を暴こうと動きますが、大企業の守りは堅く、記者の書いたスクープ記事は掲載中止となり、赤松運送は破滅寸前まで追い詰められていきます。

巨大企業の論理と自己都合のために、力尽くで押しつぶされていく中小企業。
救われない被害者。

そこだけ見ていると、よくある弱肉強食の世界のようです。

ドラマのなかで立場の弱い会社を食い物にしてでも生き残ろうとするホープ自動車は、利己的な生存本能を持っている巨大な生き物に思えてきます。

その巨大生物たるホープ自動車に所属している社員たちは、個人感情を封殺してでも、会社の利益のために動こうとします。常務取締役(國村隼)や、彼に忠実な部下たちは、まるで人間らしい心を失ったかのように、弱者を切り捨て、社員たちも他の会社も、コマとして利用するだけ利用します。自社の歪み気づいた、心ある社員たちも、生活と家族を人質にとられるような形で、異議を唱える自由を奪われていきます。

遠い昔、高校の倫理社会の時間で習った、気持ちの悪い人間疎外のありさまが、そこにあります。(あの社会の授業のおかげで、私はいまだに大きな組織というものに、気持ち悪さを感じます)

ドラマでは、最終的には、大企業の利己的な生存本能に封殺されなかった人々の心が、真実を暴き出し、弱者を踏みにじる怪物のように運用されていたホープ自動車を止めることに成功します。

弱者を見殺しにして自社を守ろうとしたホープ自動車の常務取締役は逮捕、赤松自動車は倒産を免れ、被害者の遺族も未来に進む勇気を取り戻します。

ですが、見終わっても、ハッピーエンドとは思えませんでした。( ̄。 ̄;)

ドラマの中で、巨悪の立場だったホープ自動車は、不正の続行を止められましたが、それで世の中がすっかり変わったわけではないからです。こうした事件が、弱肉強食の経済界では、おそらくは氷山の一角にすぎず、この事件では、心ある人の行動がたまたま運良く奇跡的に勝てただけで、たいていの事例では弱い側が泣き寝入りしているのであろうことが、ドラマ中のエピソードのいたるところで、語られていました。


というわけで、見終わって、涙して、しかも頭がとっても重くて頭痛までし始めているのですが、夜は子どもたちを連れて出かける予定があります。

大丈夫なのか、おかーさん。


ドラマは、私の生活に支障をきたすので、多く見てはいけません。ほんとうに。



……でも、この作品、今度映画化されるらしいんですよね。

赤松運送会社の社長を長瀬智也が、ホープ自動車の内部告発に関わる沢田課長を、ディーン・フジオカが演じるとのこと。


長瀬智也×ディーン・フジオカ、映画『空飛ぶタイヤ』で初共演。
http://ro69.jp/news/detail/160715

み、みたい・・・・。