2017年5月30日火曜日

著名ジャーナリスト・山口敬之氏についての報道から、知的障害のある女性にふりかかる性犯罪を思う



いまはお昼前。
晴れ上がって、かなり気温が高くなりそうです。
光化学スモッグが出ないか、心配です。(´・ω・`)


スモッグ注意報はまだのようですが、気持ちの悪いニュースが多いなと感じる、今日この頃。


■破廉恥とは何か



政治家の方々の暴言シリーズと、地位や知名度の高い方々に関わる、どうにも破廉恥(はれんち)な話が次々と流れてきます。


「破廉恥(はれんち)」というと、永井豪の「ハレンチ学園」の影響もあってか、エロ系の振る舞いの印象が強いですが、辞書的な意味は、もう少し広くて、

人としてどうかと思うこと、道徳に反するようなことを、恥と思わずに平気で行ってしまうこと。

なんだそうです。

つまり、行為そのものに対する社会的な評価や批判ではなく、社会的に強く批判されるような行為を、全く動じることなく、平常心で執り行える、その浅ましい心の在り方について取り沙汰する言葉ということになります。

社会常識に照らして恥ずべきような事を、恥ずかしそうにこそこそとやっているのであれば、それは「破廉恥(はれんち)」とは言わないわけです。


■破廉恥な疑惑報道は健康によくない



昨日は、ほげ子さんの通院日だったので、炎天下、電車に乗って病院まで出かけました。
診察まで、お約束の二時間待ちで、すっかりヨレヨレに。
体力なさすぎて、泣けてきます。

帰宅後、すっかり具合を悪くしてしまい、家事不能状態だったので、あねぞうさんと、ほげ子さんに頼んで、晩ご飯を作ってもらいました。めちゃくちゃ助かりました。

で、夜はほとんど横になっていたのですが、しんどい気分を紛らわすためにiPhoneでネットを眺めていたら、ますます具合が悪くなる結果に(見なけりゃいいのに)。

( ̄。 ̄;)

しばらく前から、元TBSテレビの偉い人だとかいう人の強姦事件について、政府や総理大臣夫妻との関係がどうとかいうので、週刊誌(新潮)などで騒がれているのは知っていましたが、正直、それほど興味はありませんでした。


ところが、その事件の被害者だという女性が、実名で顔を出してテレビ会見をしているという情報が、怒濤のように流れてきて、その凄惨さに、目が離れなくなりました。


テレビに多数出演する著名ジャーナリスト・山口敬之氏にレイプされたと主張する女性・詩織さん(28)が5月29日、山口氏が不起訴となったことを受け、検察審査会に不服申立をしたと発表した。詩織さんは弁護士を伴い、東京・霞が関の司法クラブで記者会見した。【BuzzFeed Japan / 渡辺一樹】
BuzzFeed Japan 5/29(月) 18:11配信 Yahoo ニュースより
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170529-00010010-bfj-soci


この女性は…

一体、どれほど悲壮な覚悟で、こうした場に身をさらす道を選ぶことになってしまったのか。

ご家族、親御さんたちは、どういう思いで、マスコミの前に向かう彼女を見送ったのか。

こうした性的スキャンダルが、一個人の人生を粉砕するであろうことは、世間知らずの私にも、簡単に想像することができます。

なにしろ、この世の中では、他人の恥や不幸が、とても価値の高い情報商材になり得ます。彼女はきっと、さまざまな人々にプライバシーを追われ、晒され、あげつらわれていくことになるのでしょう。

あのクリントン元大統領と不倫したとされる、モニカ・ルインスキーさんは、事実が公になったあと、ネットを通じて、瞬く間に、全世界的に人格攻撃と侮辱のターゲットとされる存在になってしまったといいます。そのせいで、ご家族ともども、大変な苦しみを受けたと。

元アメリカ大統領と、元TBSテレビのワシントン支局長とでは、相手のネームバリューにだいぶ差があるでしょうけれども、日本国内に限定すれば、モニカ・ルインスキーさんと似たような状況になってしまうことは、十分に考えられます。


モニカ・ルインスキーさん、TEDで雄弁に語る
「自分の過去を避けて通るのはやめにしました」




会見から1日たったいま、ネットを見ていると、山口敬之氏を強く非難する声と、訴えている女性をひたすら叩いている声とが、両方同じくらい、聞こえて(見えて)くるように思います。

山口敬之という人が、本当に犯罪とみなされる行為をしたのかどうかについては、その場にいなかった人間には、知るすべがありません。

でも、「2015年6月にいったんは山口氏への逮捕状が発行された。しかし、捜査員からは逮捕直前、『上からの指示で、逮捕できなかった』と連絡があったという。」という話が事実だとすれば、なぜそんなことになったのか、明らかにしてほしいなと思います。


逮捕状というのは、警察が、よほど確信を持たなければ、出せないものだと思っていました。それだけに、逮捕直前の撤回は、とても不自然だし、何か異常なことが起きているのかもしれないと思わされるものがあります。

さらに不自然なことに、別の記事では、検察官によって、「準強姦罪の場合、第三者の目撃やビデオなど直接的な証拠がないと(起訴が)難しい」と言われたともありました。

起訴が難しいと分かっていたのなら、どうして逮捕状が出たのでしょう。
さっぱり分かりません。(´・ω・`)


週刊新潮・山口敬之氏準強姦報道…被害訴える女性が会見「捜査に不審な点あった」
弁護士ドットコム5月29日(月)18時43分
https://news.biglobe.ne.jp/trend/0529/bdc_170529_2240467274.html




準強姦罪というのは、被害者が、睡眠中、心神喪失中などで、抵抗することが難しい状態にある場合に成立するものだとか。はじめて知りました。

今回のこの山口敬之という人の場合は、ホテルのカメラ映像に残された、不自然な連れ込みの様子や、複数の第三者からの証言があり、逮捕状が出た状態であっても、直前で逮捕が中止され、起訴もできなかったということのようです。

直接的な証拠というのは、結局のところ、その犯行現場そのものを撮影したものか、それを直接目撃した第三者の証言ということになるのでしょうか。

そんな自分に不利に働くような証拠をわざわざ残した上で、準強姦を行う人なんて、あまりいないと思いますから、ほとんどの準強姦罪は、成立不可能なんじゃないかと、ニュースを見ていて思いました。


■「聖者の行進」は過去の話だと思ってた


私が、こういう犯罪について気にするのは、知的障害者に対する性犯罪の起訴の難しさということを、以前から感じていたからです。


水戸事件(ドラマ「聖者の行進」のモデルとなった事件)についてのウィキペディアの記事

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%88%B8%E4%BA%8B%E4%BB%B6


この事件では、知的障害のある従業員を虐待し、強姦していた社長が、一応有罪にはなったものの、実刑ではなく執行猶予となり、強姦事件については全て不起訴となったとのこと。


この事件が、あだきち君の生まれるたった二年前に起こったことだということに、強い衝撃を受けたものです。


ドラマ「聖者の行進」は、あだきち君が重度障害の診断をもらう前の年に放映されていました。




内容は知っていましたが、当時は、ビデオなど借りて見る気には、到底なれませんでした。

知的障害者に対する、ネガティブな価値観の救いのなさに触れることで、あだきち君の未来に希望を抱きながら育てていく力が、自分の中で削がれてしまうように感じたからです。


その後、抵抗の困難な女性に対する性犯罪への対応について、改善されたのかと思っていましたが、今回の山口敬之という人に関する報道を見る限り、状況はそれほど変わっていない様子です。


抵抗することも、証言することも難しい立場の人に対する(性)犯罪は、起訴されにくいし、被告は重い罪に問われにくい……


悲しいです。

「聖者の行進」は、もう少しこの状況が変わってから、つまり、こうした不公正がすっかり「過去の不幸」となってから、見ることにしようかと思います。そんな日が来ることを、心から祈りつつ。