お題「身長計」 |
支援学級・学校へ押し出される子どもたち
発達障害に寄り添って小学校を「壁」にしない
知的な遅れがほぼない「自閉症」と「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」と、複数の発達障害の特性がある、愛知県在住のカズキくん(仮名)は、小学1年生の秋になり母親に訴えた。
「こころが破れる」
小学一年生の子の口から出る言葉としては、あまりにも悲痛です。
ほとんどの子どもたちにとって、なんということもない学校生活が、このカズキくんにとっては、どれほどつらく、苦しいものだったのか。
うちのほげ子さんも、小学校に入学して1週間で、パンク状態となり、登校を激しく拒否するようになりました。
最初は、一体何が問題なのか、私(おかーさん)には、さっぱり解りませんでした。
ほげ子さんには、とくに知能の遅れはないはずで、読み書きを覚えたのも、かなり早かったぐらいでした。(二歳になる前に、ひらがなの一部を読んでいました)
けれども、行きたくないという学校の様子を説明してもらおうとすると、何をどう聞いても、話がメチャクチャになってしまうのです。
長い時間をかけて話してもらって、断片的な言葉を拾い集めると、だいたいこんな事があったようでした。
・隣の男の子が、突然叩いたり、怒鳴ったりする。
・悪口など、意味の分からないことを、急に言われる。
・掃除のとき、一生懸命がんばっているのに、クラスの男の子たちに𠮟られる。
これだけ聞くと、いじめが勃発しているのではないかと、親なら誰しも思うのではないでしょうか。
私(おかーさん)も、すぐに担任の先生に連絡をとって、事情を話し、クラスの様子を聞いてみました。
けれども、先生の目から見て、いじめと考えられるようなことは、特に起きていないというのです。
ほげ子さんが、あまりにも教室を怖がるので、朝はまず、私が付き添って保健室に登校し、気持ちが落ち着いてから、教室に移動するということになりました。
下は、ちょうど六年前、ほげ子さんが小学一年生のときの日録です。
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2011年05月20日
今日も阿鼻叫喚で一日が始まった。
ほげ子さんは、学校に行きたくなくて、大騒ぎ。
あだきち君は、一秒でも早く学校に行きたくて大騒ぎ。
だれも食事なんかに見向きもせず。
そして、いま保健室。
ほげ子さんは、宿題と自習、朝読書をここですることに、自分できめたようだ。
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いろいろ思い出します。
毎朝ほんとうに、大変でした。( ̄。 ̄;)
どうしても朝ご飯を食べようとしないほげ子さんの口に、スプーンでひとさじづつ、牛乳やらヨーグルトやら、つぶした果物やらを運んでいたものでした。三年生くらいになるまで、朝の着替えも全介助だったように覚えています。
ただ、保健室登校の状態は、それほど長く続かず、比較的早い時期に、直接教室に登校できるようになりました。
担任の先生や保健室の先生がたが、丁寧に対応してくださったために、ほげ子さんのなかに、安心感が生まれたのだと思います。
このときの安心感は、小学校卒業まで維持されたようで、どうしても困ったときには、保健室でクールダウンして、大人の助けを求めるということが、その後もきちんとできていました。
後になって考えてみると、小学校に入学したばかりの、ほげ子さんは、教室の状況や、クラスメートたちのコミュニケーションが飲み込めず、ただただ、混乱していたのではないかと思います。
かなり強い聴覚過敏もありましたので、授業中であっても、ざわついた教室の中では、先生の話を聞き取ることも、難しかったようでした。
まして、休み時間や掃除の時間になれば、騒々しさは何倍にもなります。
そんな中で、友だちにいろいろ頼まれたり、指示されたりしても、即座に意味が分からず、呆然と立っていたりしたことも、あったのかもしれません。クラスメートたちには、ほげ子さんが「サボっている」「真面目にやっていない」というふうに見えたでしょうから、きつい言葉を投げかけることもあったことでしょう。
。
なかなか適応できないクラスのなかで、上に引用した記事の「カズキくん」と同じように、「心がやぶれる」ような思いを、ほげ子さんもしていたのだと思います。
ほげ子さんは、小学一年で療育を受け始め、その後、小児精神科も受診して、支援を受け続けながら、無事に小学校を卒業することができました。
いまでは朝の六時前には起きて、ちゃっちゃと着替えして、朝ご飯を平らげて、電車通学しています。学校、面白くてしかたがないそうです。
知能に目立った遅れがなく、発達障害の診断の出ないような子どもたちのなかにも、深刻な困難を抱えて、学校に適応しにくい状況に置かれている児童は、もしかしたら、かなりたくさんいるのかもしれません。けれども早い時期に、適切に対応できるかどうかで、後の状況は、たぶん大きく変わるはずです。