2017年4月23日日曜日

ハーネス使用を批判する声に思うこと


Amazonにあった幼児用ハーネス。今はかわいいのいっぱいあるんですね



びっくりな記事を読みました。

賛否両論のハーネス使用 

一番大切なのは子どもを危険から守ること

  (ママのための子育て情報WEBマガジン ママスタ)
http://select.mamastar.jp/52100


批判があるのは身をもって知っていましたけど、いまだにこんな批判を取り上げなくてはならないほど、ハーネスについての理解が進んでいないとは…。

記事のなかの、反対意見の内容が、残念すぎました。

『ようは親が楽したいからだよね。つなぐのを嫌がるなら出かけない』
『どんな理由があっても犬の散歩だね』


「どんな理由があっても」という声に、心が冷えます。

二人以上の子どもがいて、多動でも?
重い知的障害があっても?
兄弟の誰かが命にかかわる病気をしていて、他の兄弟をつれて頻繁に通院しなくてはならないとしても?
母親が体を壊していて、子どもの動きに咄嗟の反応ができない状況でも?

ちょっとググッてみたら、「人権侵害だ」なんていう声もあるんだとか。

そりゃ、使い方が悪ければ(振り返りもせずに引きずってあるくとか、子どもをどっかにつないで放置しているとか、子どもに目もくれず携帯いじってるとか…)、人権に触るような事態になることもあるかもしれませんけども。

それとも、そういう人権侵害的な使い方をしている親御さんが、増えているんでしょうか。

もしも、子どもを傷つけるような、悪い使い方をしている事例があるなら、それは非難されてもしかたがないと思います。

でも、批判の多くは、「ハーネス使用=悪・親の怠慢」っていう見方のようです。
見た目の悪印象から叩いている声も、多い様子。

大人の知的障害者や認知症患者を紐でつないで歩いたら人権侵害なんだから、子どもにやっても人権侵害、という意見も見ました。

いや、なんというか…

「見た目」と想像だけで考えて、実際に困っている立場の人の視点に立つことがなければ、こういうトンチキな(失礼)意見になるのでしょうか。


ラクをしたいから使うのではなく、マジで命にかかわるから使う場合もあるのだと、想像できないものなのかと思うのですが、出来ないからこその批判なのでしょうね。

それだけ、ハーネスが必要な立場の人が、少数派だということでしょうか。


うちには、重度知的障害のあだきち君がいますけど、歯科治療のときには、専用の拘束衣が使われます。使わないと、本気で命に関わるからです(ちなみに、大きな治療になると、全身麻酔です…)。

人権侵害だから拘束衣を使うなということになれば、あだきち君のような人は、歯科治療が不可能になります。

一体どっちが、人権を侵害した状況でしょうか。考えたって分からないと思うので、批判されている方には、ぜひ一度、現場を見てほしいです。大変ですからマジで。


ベビーベッドの柵だって、見ようによっては動物を閉じ込める「檻」に似ています。あれも人権侵害だと言いつのろうと思えば、できないこともないでしょう。私は「檻」だとは思いませんけど。


あー、でも、あねぞうさんが長期入院していたころ、病棟の子供用ベッドの鉄の柵は、嫌いでしたね。冷たいし、固いし。

だから、ベッドの柵に、いっぱい飾りをつけていました。造花やぬいぐるみなど。

もちろん、「人権侵害だから、ベッドの鉄の柵を取り払え」なんてバカみたいなことは、思いもしませんでした。なければ、あねぞうさんが落ちて怪我をしますから。

「檻」に見えないような、画期的なデザインの子ども用の医療ベッドがあればいいんですけど。どなたかそういうベッドをデザインしてくださらないものでしょうか。


(__).。oO


話がワキにそれました。
ハーネスに戻ります。

うちは、あねぞうさんとあだきち君が、年子で、1歳半しか違いません。
あねぞうさんが2歳で難病を発症しましたので、よちよち歩きのあだきち君を連れて、散々病院に通いました(あねぞうさんが長期入院しているとき以外)。

あるとき、あだきち君を抱っこひもで抱っこして、あねぞうさんにはハーネスをつけた上で手をつないで、総合病院前の交通量の多い道を歩いていたら、通りすがりの女の人に、

「かわいそう!」

と、非難がましく言われました。

上の批判意見の方々のように、手抜き育児の実践をするハハオヤに見えたのでしょうか。腹は立ちましたが、その場で言い返す気にもならず、聞こえないふりをして去りました。

そういうことが、数回ありましたが、危ない道を歩くときにハーネスを使うことを、私はやめませんでした。

だって、危ないじゃないですか。( ̄。 ̄;)

手をつないでいても、急に両手が使えなくなることは、十分に考えられます。私はあまり運動神経のいいほうではありませんから、もしも、何かの事情で手を離した瞬間に、あねぞうさんが走ってどこかに行ってしまったら、とっさに捕まえたり、追いついたりできないかもしれません。実際それに近いことが、何度かあったからこその、ハーネスだったのです。

あ、でも、一人だけですが、賛同して励ましてくれた方もいました。

西洋人の男性が、やはり病院前で、あねぞうさんのハーネスを見て、にっこり笑って、

「イイネ!」

と声をかけてくれたのです。
とてもしんどい時期でしたので、あれはうれしかったなあ……(^^)。


というわけで、ハーネスについては、ぜひ、使用を一律に批判するのではなく、使い方への議論にシフトしてほしいと思うのです。

ラクをしたいからハーネス使うんだろう、というような偏見は、持たないでほしいものです。

というか、ハーネス使ったって、安心度が高くなるだけで、別にそんなに育児がラクになるわけじゃないですから。ここは声を大にして言いたいです。(´;ω;`)