ほげ子さん画「ヒツジ」は猫にしか見えない |
ほげ子さんの中学では、読書ノートに、最低でも月二回の読書記録をつけることが、課題になっています。
今月のノート提出日が迫っているので、この週末に、図書室から一冊借りて、読んで記録を書くようにと、今週の頭から、少なくとも二十回は声をかけていましたが……
ほげ子さん、とうとう、本を借りてきませんでした。
(ちなみに、ほげ子さんは図書委員です)
まあ予想されたことではあるので、今日はなんとしても読書と記録記入を決行すると、あらかじめ宣言したところ、「家にある本を読む」というので、「記録記入は付き合うから、三時までに読んでおいてね」と伝えておいたのですが……
ほげ子さん、声をかけるたびに、「赤毛のアンを読んでるよー」とか答えていましたが、実のところ、隠れてiPadで遊んでいて、ちっとも読んでいませんでした。
おかーさん(私)、かつて愛読していた「赤毛のアン」について、語り合うことを楽しみに待ってたのですが、まあこういう期待って、ほぼ裏切られますよね。(´・ω・`)
しかたがないので、そばについて、一緒に本を読むことに。
「赤毛のアン」は長すぎるというので、iPadにダウンロードしてあった、サン=テグジュペリの「星の王子様」になりました。
で、読みはじめましたが、ほげ子さん、全く気が乗らず、不機嫌きわまりない顔でiPadをにらみつけています。内容も、あんまり頭に入らない様子。
こーんな顔になってました。↓
フリー素材のサイトからお借りしたイメージ画像 |
義務や課題として押しつけられた読書では、ノリノリで作品世界に没頭するのは難しいので、しかたがありません( ̄。 ̄;)。
それでまあ、ちょっと読んでもらっては、少しづつ質問したり、話をしたり、ツッコミを入れたりしながら、読み進めていきました。
「このお話書いてるのは、どんな人?」
「あ? なんだっけ・・・(怒)」
「仕事はパイロットだよね。で、ホントにやりたいことは、何だっけ」
「絵(怒)」
「だよね。絵が描きたかったのに、何でやめたんだっけ」
「バカにされたから!(怒)」
「誰に?」
「そこいらの大人!(怒)」
「うん。でさ、王子様は、もともと、どこにいたの?」
「星!(怒)」
「どんな?」
「ちっさい!(怒)」
「うん。で、いま、お話を書いている人と一緒にいるよね。そこって、地球だよね。なんで地球に来たんだっけ」
「旅!(怒)」
「なんで旅に出たの?」
「バラと喧嘩したから!(怒)」
「何で喧嘩したのかね」
「バラがめんどくさいやつだから!(怒)」
「だよねー。いろんなこと言って、王子のこと、振り回したんだよね。で、王子は傷ついて、イヤになって、バラも自分の星も捨てて、旅に出ることにしたと。でもさ、旅に出るとき、バラは何か言ったよね。何言った?」
「知らん!(怒)」
「ほんとは愛してましたって、言ってたじゃん。王子のこと好きなのに、素直になれなくて、自分の言うこと聞かそうとして、イヤなことばっかりいってたんだよね」
バラの言動は、大人が読むと、モラハラ行為とか、マンンティング行為に近いものがあります。このバラ、生まれたばかりなのに、かなーりイヤなやつです。自分が無知で無力なことを隠したい一心で、虚勢なんか張って、王子に罪悪感その他諸々、いろんな負の感情を背負わせて、傷つけることも厭いません。
でも本当は、バラは王子が大好きで、大事にしてもらいたいだけだったのかもしれません。いわゆるツンデレ属性です。
そういうバラの本心に気づけるほどの余裕が、王子の側になかったことは、不運でした。王子もそのことに気づいて、後に悔いています。
「でさ、王子、旅に出てから、いろんな星で、いろんな人に出会ってるよね。どんな人たちだった?」
「王様とか、いろいろ」
「全員に共通すること、何かなかった?」
「大人」
「どんな」
「みんなうざい」
「うん。王子は子どもで、出会った人たちは大人なんだけど、あんまり魅力的な大人、いなかったみたいよね」
「うむ」
さて、そろそろ本題です。
「ところでさ、ほげ子さんは、どんな大人になりたいと思う?」
ほげ子さん、いい笑顔で、答えてくれました。
「はい! 私は、心配事のない、平穏な暮らしができる大人になりたいと、思います!」
「あ、そう(…おかーさん、知らなかったよ…)。それってさ、このお話に出てきた、よその星に住んでる、うざくてつまんない大人達と、たぶん同じ願いなんだよね」
「そうなのか?」
「うん。でも、なんかみんな、うまくいってなかったと思わない? 王様は、命令できる家来が一人もいないのに、その理由も考えないし、目の前の現実を見ようともしないよね。ビジネスマンは、自分のものでもない空の星をぜ、所有しているって言い張ってるだけで、ほんとはちっとも裕福じゃないし、街灯に火をつける仕事をしてる人は、誰が決めた分からないルールに従うだけで、自分でものを考えて決めようともしない。それ、怖いことだよね」
「まあね」
「で、お話を書いている人も、大人にバカにされて、画家になりたかった夢を捨てちゃってたよね。で、パイロットになって、砂漠に不時着して、あと1週間で死ぬかもしれない状況になっちゃっている。本当の夢を捨ててなければ、もしかすると、こんな目に遭わずに済んだかもしれないのにね。心配事のない、平穏な暮らしをするために、どうしたらいいか、きちんと自分で考えたほうがいいだろうね」
なんてことを、つらつらと話しながら、ほげ子さん、読書ノートの記事をしっかりまとめていたようです。
そのあと、まだ読んでいない「赤毛のアン」について、ほげ子さんのかつてのクラスメートたちを、登場人物にあてがいながら、ざざっと語ったりして過ごしました。
アンの癇癪持ちのとことか、マシンガントークなところ、ときどき、とんでもないことをやらかすところなどは、ちょっと、ほげ子さんに似ている気がしますが、いつか読んだら、自分で気づくかもしれません。