2016年7月18日月曜日

療育の出前


こんな記事を、読みました。


自閉症の子供の療育を支援、イノベーション女子 熊 仁美



イノベーション女子、という耳慣れない言葉に首をかしげつつ、開いて読んでみると、記事は、次のような文章で、はじまっていました。



「もう少し見守りましょう」「ありのままを受け入れよう」
自閉症の子供を持つ親たちは、決まって一度はそんな言葉を掛けられる。でも、それって子供たちの可能性を奪ってはいないか?
ADDSの共同代表の熊 仁美(31)は、ずっとそんなふうに考えていた。たとえば米国の多くの州では、子供に支援が必要だと判断されれば、公費でセラピストが家庭に派遣される。
「早期に療育を始めないと、子供の権利侵害になるとさえ考えられている。でも、日本にはエビデンスに基づく療育というものがまったくと言っていいほど広まっていないんです」

読んで、まず、ため息が出ました。


「もう少し見守りましょう」
「ありのままを受け入れよう」


いまもまだ、幼い自閉症視の親御さんたちは、こんな言葉をかけられているのだろうか、と。


いまから17年ほど前、2歳になったばかりのあだきち君が、どうやら自閉症らしいと分かったとき、私は即座に治療教育の必要性を感じて、それを施してくれる場所を探し回りました。

当時はまだインターネットもそれほど一般的でなく、「自閉症」で検索しても、せいぜい三万件くらいしか検索結果が出なかったように記憶しています。

そのなかから、応用行動分析、という言葉を拾い出し、他にも、早期療育について説明している病院のサイトや、個人の試みを紹介するサイトを読みあさったものでした。


同じ頃、ネットで知り合った、自閉症児の親御さんたちとも、いろいろやりとりしてみたのですが…


驚いたことに、当時、そうして出会った親御さんの多くは、早期療育に否定的でした。


「重度の自閉の子に勉強させるなんて、かわいそう!」
「ありのままの自分の子どもを受け入れられないのは、親のエゴでは?」
「愛されて幸せなら、何もできなくてもいいじゃないですか」

そうした内容を、わざわざ個人的にメールを送ってくださった方々も、いました。


けれども、そうしていろいろ言われても、あだきち君に療育が必要だという思いは、変わりませんでした。


幼児期に、病院で、「障害が重くて、字の読み書きも、言葉を話すことも、おそらく難しいのではないか」と言われて、就学前の施設では、「机上の訓練など、この子には役に立ちません」と断言されていた、あだきちくんの人生は、療育教室での、十七年間の積み重ねによって、はかりしれないほど豊かになったと思っています。


お話を、上の記事に戻します。

イノベーション女子として紹介されている、熊仁美さんという方は、応用行動分析手法に基づいた専門的な療育をベースに、学生セラピストたちを家庭に派遣する事業をされているそうです。


あだきち君の幼児期に、キャサリン・モーリスという自閉症児の母親の書いた、「我が子よ声を聞かせて」という手記を読んだのですが、著者は、二人の自閉症の我が子のために、毎日、自宅にセラピストに通ってもらっていました。手探りの闇鍋のような状態で、毎日あだきち君と向き合っていた私は、それを読んで,心の底からうらやましいと感じたものでした。

自閉の子の親にとって、おそらくいちばんつらい、幼児期の暗くて長い、出口の見えないトンネルのような日々を、生活の場で、一緒に寄り添って歩いてくれる専門家がいてくれることは、どれほど大きな救いになることか。

(あ、でも、セラピストに家に来てもらうには、家をちゃんと片付けておかなくてはいけないという大難関があるわけで、それは「とても片付けられない主婦」であった私にとっては、大変な壁であったろうとは、思います…)

なにはともあれ、こうした療育を、すべての発達障害の子どもたちが、あたりまえのこととして、(できれば経済的な負担をあまり背負わずに)受けられるようになってほしいと思います。









〈「だっきたんぐる」の登場人物〉


あねぞうさん……長女。20歳。もうすぐ夏休み。
あだきち君……息子。18歳。自閉傾向のある重度の広汎性発達障害。療育が大好き。
ほげ子さん……末っ子。11歳。二年前から、ADHDの薬を服用中。塾で勉強中。
おかーさん……ここのブログを書いてるひと。とても注意欠陥気味。そういえば昔予備校の先生でした。
おとーさん……我が家では唯一「まとも」と自認してるけど、実はそうでもない。




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