2016年7月20日水曜日

広汎性発達障害と、命にかかわる問題行動について…




ああ、やっぱり障害名が出たのか……
そうつぶやいて、深いため息がでるような記事が、今朝の新聞に掲載されていました。



小2に飛び降り強要、小4両親に1千万円賠償命令

http://www.asahi.com/articles/ASJ7M5K4CJ7MUTIL03F.html



 東京都内の小学校に通っていた当時2年生の女子児童が2013年、同じ小学校の4年生の女子児童に命じられてマンション屋上から飛び降り、重傷を負ったとして、2年生の女児と両親が4年生の女児の両親に3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、東京地裁であった。(中略) 
判決によると、13年1月、当時10歳だった4年生の女児は、8歳だった2年生の女児が学校の前で縄跳びを振り回しているのを注意。さらに説教しようと9階建ての自宅マンションの屋上(高さ約26メートル)に連れて行き、「飛び降りろ。ここから落ちて死んでしまえ」と言って飛び降りさせた。2年生の女児は木の枝に当たるなどして一命は取り留めたが、肋骨(ろっこつ)や足の骨などを折る約11週間の重傷を負った。 
 4年生の女児は重度の難聴で両親は専門のクリニックに通って育て方の指導を受けていた。また、事件後に社会性の乏しさなどがみられる広汎(こうはん)性発達障害と診断された。 
 判決は、年齢や障害などを考慮して、4年生の女児に責任能力はなかったと判断。その上で、両親の監督義務について「専門家に相談するなど子育てに相当の努力を払った」と認める一方、「他者が思い通りに動かないと怒りを持つ女児の傾向に気づいておらず、対応は不十分だった」として賠償責任を負うと判断した。




起こされてしまった事件は、あまりにも深刻で、どなたにとっても、取り返しのつかないものです。

被害にあったお子さんが命を落とさなかったことは、ほんとうに不幸中の幸いでありましたが、だから良かった、という簡単な話ではないはずです。


監督義務についての、「対応は不十分だった」という判決の言葉の先に、「どのような対応をすべきだったか」という提案が、絶対に必要だと思うのですが、それは裁判所の仕事ではないのでしょう。


女子児童のご両親は、どうすればよかったのか。

専門家に相談していたにもかかわらず、広汎性発達障害の診断が、事件後になされているのは、どうしてだったのか。


学校関係者、就学時健診のときの担当者、そして相談していた専門クリニックの担当者は、これまで、どのような対応をしていたのか。



二度とこのようなことが起きないためにも、ここに至ってしまうまでの責任を、両親だけに負わせることの、危険性を感じずにはいられません。



まず、学校関係(幼稚園・保育園・教育委員会など)、病院、自治体の障害児福祉担当者(発達相談の窓口など)…そうしたところでの、継続的な情報の共有が、親御さんへの支援の前提条件となると思います。


そして、障害の可能性が分かり、親が受け入れる覚悟ができた時点で、即座に、幅広い知識や経験のある療育者との連携ができれば…どれほど心強いことか。



2歳になったばかりのあだきち君を、市発達相談に連れていったときに、発達教育を大学で学んでこられたという、担当の方から言われた言葉を、私はいまでも忘れることができません。



「●●県のほうに、四百万円払うと、終身預かってくれるような施設も、ありますよ」

「福祉行政はアテになりませんから、もう一人、下の子を作って、将来支えてもらうことを考えてはどうですか」




これは、いまから17年前の話です。
もう、こんな声がけがされていないことを、全力で祈りたいと思います。