あだきち君は、味噌汁のダシを変えると、すぐに気づいて、あまり食べなくなったりします。
ホンモノのかつおぶしと昆布のダシと、「かつお風味のほんだし」の違いは、すぐに分かります。ホンモノが大好き。ほんだしは、許容。それ以外のインスタントのダシだと、あまり味噌汁を食べなくなります。
他の家族も、気づくこともありますけども、あだきち君ほど鋭敏ではありません。
あだきち君は、どういうわけかわかりませんが、Tシャツをかならず、後ろ前の裏返しに着ます。
トランクスは、裏返しにはしませんが、必ず後ろ前にはきます。
そんなふうにする理由は、さっぱり分かりません。
他の人はそんなことをしませんし、何度も注意されていて、「違っている」と分かっているはずなのですが、他の人のやりかたやアドバイスに合わせるつもりは、全くない様子です。
人に合わせることをしないのは、決して、人と違っていることに気づいていないからではないようです。気づいていないことも多いのでしょうけれども、人と違っているということに、あだきち君は、ほとんど重きを置かないのです。
あだきち君には、仲間はずれにされるとか、「人と違っているからいじめられるかもれしない」という概念が、そもそもないように見えます。
あだきち君にも、好みはありますが、それは少なくとも、自分と「違っている」か「同じ」かで決まるものではないようです。
あだきち君は、誰かを差別したり、「自分と違っている」ことを理由に排斥したりするようなことを、決してしません。
あだきち君は、車椅子の方々や、いろいろな病気、障害を持った方々と、毎日施設で一緒に過ごしています。
直接会話したり、関わったりということは少ないようですが、あだきち君の様子をみていると、ゆるやかで、穏やかな、けれども確固とした仲間意識があるのが分かります。
「ここは、僕の居場所」という確信をもって、毎日、ニコニコしながら施設に通っています。
いつか、あだきち君が、仲間に対して、周囲の世の中について、どんな思いを抱いているのか、言葉で教えてくれる日がくることを願って、いまもずっと、言葉の勉強を続けています。
「違い」にあまり頓着しないように見えるあだきち君ですが、心のなかでは、もしかしたら、もう少し複雑なことを考えているのかもしれない……そんなふうに思えるような、思慮をめぐらせているらしい表情をすることもあります。
でも、もしもあだきち君が、それを言葉にしても、アメリカの大統領選に出るらしい、トランプさんのようなことは、絶対にいわないだろうなという確信が私にはあります。
(__).。oO
今朝、ネットでたまたま見つけた記事に、自閉症の男の子がはじめて試作をしたエピソードがありました。
「ボクは変わり者」
自閉症の男の子の詩に、本当に大切なものを思い出す
http://tabi-labo.com/273388/iamoddiamnew/
邦訳がついているのですが、英語の原文と比べると、だいぶニュアンスが変わっているように思えます。
原文を書き写してみます。
I am odd,I am new
I wonder if you are too
I hear Voices in the air
I see you don't, and that's not fair
I want not to feel blue
I am odd, I am new
I pretend that you are too
I feel like a boy in outer space
I touch the stars and feel out of place
I worry what other might think
I cry when people laugh, it makes me shrink
I am odd,I am new
I understand that so are you
I say, "I feel like a castaway"
I dream of a day that that's okay
I try to fit in
I hope that some day I do
I am odd, I am new.
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記事は「障がい者を標的にした目を背けたくなるような事件の後だけに、ベンジャミン君の詩の中に登場する“違い”の意味を、改めて考えるきっかけになればと思います。」と、結んでいます。
私も、マネして書いてみました。
詩ではありませんが……
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私は、ちょっと変わったおかーさんです。
私はかなり斬新だったりするかもしれません。
あなたも、三人のかわった子のおかーさんであれば、私と同じくらい、斬新かもしれません。
でも、三人のかわった子を持たないおかーさんたちは、あまり私とは似ていないかもしれません。
とくに問題はありません。世の中、そんなものですから。
うちの子供たちは、ちょっと火星人っぽいかもしれません。
ということは、私は、火星人のおかーさんです。
ときとぎ、混んでいるエレベーターに乗るのを避けることがあります。
火星人がエレベーターに乗っていたら、びっくりする人もいるでしょう。
でも、「いっしょに乗ろうよ!」と呼んでくれる人もいるのです。
ちがっていても、いっしょに乗れる。それはとてもうれしいことだから、
そんなことのあった日は、火星人のおかーさんは、たくさんブログを書くのでした。