2017年8月11日金曜日

ICレコーダーについての世の中の偏見がひどかった件



昨日、こんなニュースがありました。

一部引用します。

警察官 少年に「否認すればろう屋」 弁護士会が警告
8月10日 18時07分 (NHK NEWS WEB)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170810/k10011095911000.html

自白を強要された男子生徒の父親と弁護士は、事情聴取のやり取りの録音を公表し、「記録していなければ泣き寝入りするしかなかった」と訴えました。 
男子生徒2人の父親と弁護士は、10日、東京・霞が関で会見を開き、生徒のうちの1人が両親から勧められてICレコーダーを持ち込み、事情聴取の様子を録音していたことを明らかにしました。 
そのうちの一部が会見の中で公表され、生徒が万引きに関わったことを否定したのに対して、取調官は「発言次第ではお前の首が飛ぶぞ悪いけど。てめえ高校なんか行かせねえぞこら。学校じゃねえんだぞここは、おら。高校なんか行かせねえよお前。お前の言い方次第じゃやってやんぞ」と、どう喝するような言葉を浴びせていました。取調官は、もう1人の生徒は関わりを認めたと告げて、「向こうは反省、ごめんなさいができている。てめえだけなんだよ。お前おちょくってんのかお前。じゃあお前だけ事件として取り上げるぞ、悪いけど」と言って、関わりを認めなければ逮捕するかのような話をしました。 
さらに、事情聴取の後半には、別の取調官が「俺たちはお前にチャンスを与えているだけの話だから。チャンスがいらないんだったら逮捕してろう屋に入れ、じゃあ。お前の人生終わりだからな。高校も行けないから。訳のわからないこと言ってんじゃないよ、いつまでも。このやろう。わかったか」などと自白を迫っていました。 
ICレコーダーを持たせた男子生徒の父親は「事情聴取が終わったあと、息子の服は泣いた涙や鼻水で汚れていて、私の前では『俺はやっていない』と話しました。記録していなければ泣き寝入りするしかなく、こうしたことは二度と起きてほしくないです」と話していました。


非常に気持ちが悪いと思ったのは、この事件に対して、ICレコーダーを持っていた中学生の側を強く批判する声が、ネットにたくさんあふれたことです。

そうした発言の多くは、中学生が万引きに関わっていると決めつけた上で、ICレコーダーを使って警察をハメたという解釈をしていたようです。
事実が確認できなかったとして、警察が謝罪しているというのにです。

親が持たせたのだという記事が出ると、今度は、一般家庭にICレコーダーがあるのはおかしい、という意見が出始めました。


ICレコーダーは、Amazonなどのネットショップだけでなく、ショッピングセンターに入っているような電気店でも売っているものです。
値段もそれほど高価ではありません。
仕事で必要があって使う人は、おそらく少なくないはずです。

私は出席する会議の議事録を作るために、ずっと使っていましたが、小型で電池のもちもよく、とても便利でした。

iPhoneアプリのレコーダー(有料)も使ったことがありますが、こちらもなかなか高性能でした。講演記録を作らなくてはならないのに、会場にICレコーダーを忘れていってしまい、その場でダウンロードしたのでした。


仕事だけでなく、学校のいじめなど、集団内での人間関係で悩んでいる家庭でも、ICレコーダーを携帯することを考えるかたは、おそらく増えているだろうと思います。そういう場合は、スマホやiPhoneのICレコーダーでは、使いにくいことでしょう。

事例を直接聞いたことはありませんが、何らかの障害のある家族に持たせるという人も、きっといるだろうと思っています。
家族による人間関係、状況の把握の目的の他、本人が、リアルタイムで取りこぼしている情報を補完するという用途にも使えるだろうと思うのです。


実際、障害者向けのICレコーダーは、販売されています。


そういう状況を知らずに、警察で理不尽な脅しを受けた子供たちを不良と決めつけて、ICレコーダーを持っているということから邪推して、ただただ批判することのできるネットの匿名の声が、まるで世間の大多数の声のように見えてしまう、SNSの場が、とても怖いと思いました。