2016年3月30日水曜日

自閉症とGABA

こんな記事が出ました。

GABA受容体運搬に関わるタンパク質が

自閉症の原因遺伝子であることを特定


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160330-00000006-it_monoist-ind


 東京大学は2016年3月16日、脳の神経細胞(ニューロン)の活動を抑えるGABA受容体の運搬に関わるタンパク質「PX-RICS」が、ヤコブセン症候群患者に発症する自閉症の原因であることを特定したと発表した。(中略)
同研究グループは、大脳皮質/海馬/扁桃体など、脳の認知機能に関連する領域のニューロンに豊富に発現するタンパク質PX-RICSを同定し、その遺伝子を欠損するマウスを作製。同マウスは外見的には正常だが、他のマウスに対する興味や超音波域の鳴き声を使った母子コミュニケーションが少なかった。一方で、正常なマウスよりも反復行動が多く、習慣への強いこだわりがあるなど、自閉症の症状に類似した行動異常を示すことが分かった。
 また、こうした自閉症様行動の発生メカニズムを解析したところ、PX-RICSがGABAA受容体をニューロン表面へ運搬する役割を担っていること、PX-RICS遺伝子の欠損でGABAA受容体をニューロン表面に発現できなくなると、自閉症の発症に直接結び付くことが示された。(中略)

 同成果は、GABA受容体の輸送を改善する薬剤の開発など、自閉症の新しい治療戦略への貢献が期待されるという。 


 いろいろな研究成果の報告を見ていると、もっともっと、明らかになってほしいという思いとともに、「もう少し、早かったなら、息子の治療に間に合ったかもしれないのに」という思いが絡み合って、なんとも複雑な気持ちになります。

息子は、もう18歳。仮に、こうした欠損を補う治療薬が開発されて、成人した後に服用できるようになったとして、どこまで発達の問題を改善できるのか……。

けれども、根治的な治療の可能性が見えてきているのであれば、まだ幼い自閉症の子どもたちや、これから生まれてくる子どもたちのために、ぜひとも、一日も早い発見、開発をお願いしたい気持ちで、いっぱいです。

反復行動やこだわりから解放されるだけで、どれほど暮らしやすくなることでしょう。

息子を見ていると、自閉症特有と言われる、こだわり行動や、繰り返し行動にとらわれてしまっていることは、本人にとって、安心感よりも不自由感、時には苦痛でさえある場合もありそうに思われます。

息子は、幼児期に擦り切れるほど見ていた、ピングーのビデオテープを、小学生になってから、自分で全部、わざと壊してしまいました。もうとらわれたくないという思いの表れだったのではないかと思い、同じものを買いなおすことは、しませんでした。


そうした行動の問題が、少しでも薄れるような、安全な投薬治療があるなら、本人も、家族も、ずいぶん救われるだろうと思います。


東京大学の研究者のみなさん、がんばってください。
研究の進展と、遠くない将来に臨床で大きな成果のあがることを、心から願っています。