2019年11月10日日曜日
スーパーでのお買い物
日曜日の午前中は、おとーさんと二人で、スーパーに買い物に行くのが、あだきち君の決まり事です。
力持ちなので、重い荷物をリュックサックに入れて、苦も無く背負って歩いてくれます。
この習慣は、特別支援学校の中学部か高等部あたりから始まって、成人後のいまも、ずっと続いています。
でも、赤ちゃんのころから、幼児期までのあだきち君は、スーパーがとても苦手でした。
五歳くらいまでは、入口まで行っただけでもパニックになってしまうため、店内に入ることも難しい状態でした。知覚過敏のために、スーパーの照明や雑音などが、耐えがたく感じられたのだろうと思います。
知覚過敏は徐々に改善して、小学校の高学年になるころには、家族と一緒に買い物を楽しめるようになりました。
けれども、同時に困った問題もいろいと出てきました。
まず、ほしい商品を見つけると、黙って持ち帰ろうとしてしまうこと。
お店を出てから、あだきち君が手に商品を持っているのに気づいて、あわてて戻って謝罪した上、買い取ったということもありました。状況的には万引きと変わりませんから、ほんとうに気を使いました。
その後何年もかけて、学校や療育教室などでも買い物の練習などを続けるうちに、「お店に並んでいるものは、お金を払ってから、持ち帰る」ということが分かるようになり、持ち去りはなくなりました。
でも、それで一安心というわけには、いきませんでした。
今度は、お店で欲しいものを見つけると、どんどん買い物かごに放り込むようになったのです。
全部を買い与えることはできませんから、棚に戻すことになるのですが、それがパニックやカンシャクの引き金になることもありました。
買わずに我慢する、あるいは、買い物かごに入れてしまったものを、カンシャクを起こさずに棚に戻す、ということができるようになるには、たくさんの経験と、長い時間が必要でした。
そうこうするうちに、「親が見ていないスキを狙って、ほしいお菓子や飲み物を、買い物かごにこっそり忍ばせる」という、高度な技を開発してしまう、ということもありました。
レジでの清算中に、買う予定のなかったお菓子や飲み物が、買い物かごの底のほうに入っているのに気づいて、「やられた!」と心の中で叫ぶということが、何度あったか分かりません。
その注意力や観察力を、もっと別なところで活用してくれればと、切実に思ったものですが・・・
「どうしても欲しい」という強い気持ちがあるからこそ、そういう能力を発揮できたのでしょう。
成人してからは、お買い物で問題を起こすことは、ほとんどなくなっています。