あだきち君が、立ったまま椅子に片足をひっかけて、実にきみょーな格好で静止しているので、なんだろうと思って近づいてみたら、「大」の気配が漂ってきた。
「ちょっと、でてるじゃないのよ! 教えなさいってば」
と私がというと、
「でたー」
と事後報告して、ニヤニヤしている。
出たもんはしょーがないので、その場で全部ぬがせて、お始末にとりかかると、「大」のなかに、なにやら「大」以外のものが見えている。なんだろうと思って、そばにいたあねぞうさんと二人で、まじまじと観察した。直径1センチ弱の、黒くて、平べったくて、丸い物体。
「碁石じゃない、これ」
「うーむ。碁石だわ」
おとーさん愛用の、ポータブル碁盤専用の、碁石であった。
今日は午後から、お腹のレントゲンを撮る予定だった。碁石が出ないまま撮影していたら、怪しい影があるというので騒ぎになっていたかもしれない。
偏食のくせに、石とか砂とか、紙切れとかボールペンのキャップとかは、平気で食べるのはなぜなのだろう。うまいのか?
出た碁石は、いちおう消毒して保管してあるのだが、このまま碁笥に戻そうかどうしようか、迷っている。
(あだきち君…4歳 あねぞうさん…6歳)