あだきち君、生まれてはじめて、手術をした。
虫歯の治療なのだけど、通常のやり方では窒息などの危険があるため、全身麻酔で呼吸も止めた状態で行うのである。
手術室につれていかれて猛烈に怒り、そのまま麻酔で昏倒。
三時間後、手術が終わって麻酔からさめたとたん、おんなじ調子で猛烈に怒りはじめた。
あだきち君としては、途切れることなく怒っていたつもりなのだろう。
自分の知らないうちに、足の甲に点滴の針が刺さっているのを見つけて驚愕し、こんなヤバい場所に長居は無用とばかりに、ふらつくのもかまわずに立ちあがって着替えを済まし、針にかまわず靴を履いて、とっとと家に帰ろうとした。乱暴なやつである。
あだきち君には災難なことだったが、無事に済んで、親のほうは一安心である。