大晦日だったか元日だったか忘れたのですが、大きな書店で、こんな本を見つけました。
自閉症児のことばの学習―話せるようになってからの概念学習
久保田小枝子 (著), 石井聖 (著) コロロ発達療育センター
思わず手に取ったのですが、定価がなんと
五千円。
私にとっては、迷わず購入できる金額ではありませんでした。
中を見てみると、言葉がいろいろに分類されていて、下位概念から上位概念へと学習を進めていくような形になっているようでした。
文の学習も、さまざまな構文に分けて、整理されているようです。
とても便利そうですが、これはこのままの形では、あだきち君には使えないだろうなと思いました。
下位概念から上位概念への学習は、あだきち君も、これまで何度も、あの手この手で挑戦してきています。
のみもの(牛乳・ジュース・水…)
くだもの(りんご・バナナ・いちご…)
ほんとうに簡単なことのようですが、あだきち君には、この概念の階層の間に、超えがたいハードルがあるようなのです。
たとえば、「りんご」を「くだもの」と言わなくてはならない必然性が、あだきち君のなかには、ないらしいのです。
りんごが食べたいときには、冷蔵庫からりんごを取り出してきて、
「りんご、たべる」
と言います。冷蔵庫にも、家のなかのどきにもりんごがないときには、あだきちくんは「りんご、たべる」とは言いません。ほしいものが目の前にあるときに、それを直接的に指示する言葉を使って、要求を伝えることはできますが、それ以外の要求表現は、難しいようです。
そして、あだきち君の自発的な発話は、ほぼこのような、直接的な要求表現に限られます。
ですので、わざわざ総称で「くだもの」と言わなくてはいけないシチュエーションが、あだきち君の生活のなかにはありません。
おそらく、上のテキストを使っても、同じようにつまずくだろうと思いました。
上位概念、総称を理解してもらうためには、あだきち君にとって、それを使う必要があるような場面が、絶対に必要ですが、いまのところ、いいレッスンの方法を思いつけずにいます。
あだきち君の生活をじっくり見直して、言葉に置き換えるところから、進めていこうと思います。
とりあえず、今日のあだきち君は、咳が少しでているので、こんな例文を作りました。
咳が出る。
具合が悪い。
風邪を引いた。
「咳」「具合」「風邪」は、上位・下位の関係にある概念ではありませんが、関連するものとして、一つのまとまりを作れそうに思います。
「咳」については、何を指す言葉か、理解しているようでしたので、それと一緒に「具合」「風邪」を含む文を、追唱してもらいました。体調がもどったら、文字にして、書き取りの練習をしてみたり、単語ノートを作ったりしてみようと思います。
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